飲食業の原価率
原価率の把握は飲食業にとって非常に重要な事項となります。
なぜなら、原価率が数%変わるだけで、経営に致命的な影響を及ぼす可能性があるからです。
原価率とは、売上に対する原価がどれくらいの割合でかかっているかを表した指標です。
飲食業における原価とは、食品や調味料、箸や容器等を指します。
要するに、一食当たりにどれくらいの食材や消耗品が必要となっているかを把握するという事です。
例えば、原価率が30%の飲食店があったとして、そこから原価率が3%上がっただけでも経営に大きな影響を及ぼします。具体的にどう影響するのかというと、月間の売上が1,000万円だとして、もしその原価率が3%上がったのであれば約30万円が一か月間で無駄に使われたということになります。
この30万円というお金があれば、正社員を一人雇えるのかもしれませんし、広告費や借入金の返済のような他の用途に回すことができたはずです。
原価率上昇の理由①:廃棄ロス
原価率が上がってしまう理由は、大きく二つ考えられます。
まず一つ目の理由は、廃棄ロスです。
食材は賞味期限があるものなので、食材を仕入れたけれども調理に使用せずに賞味期限を迎えて廃棄をしても、当然お金は帰ってこないため、その廃棄したものの金額分が原価率を上げてしまうことになります。
これは、調理前の食材のみ問題ではなく、ケーキ屋さんのケーキなど、調理後の完成品でも廃棄をする可能性があるのが飲食業の怖い部分です。
原価率上昇の理由②:働き手の熟練度
もう一つの原価率が上がる理由は、調理において一食当たりにかける食材を使いすぎてしまっているという事です。
一食当たりの売価は決まっているけれど、調理する人の熟練具合によりその一食に投入される食材の量にムラがでてしまい、結果的に必要以上の食材が使われてしまっている可能性があります。
調理する人の熟練度合い以外にも、時折り目にする「ごはんのおかわり無料」の飲食店も、売価は固定されているのに原価率はおかわりをされる分だけ上昇してしまうということになります。
緻密な計算が経営の重要課題です
原価率の変動は、一食当たりで考えれば非常に微々たる差かもしれません。
飲食業は売価が数百円の商売ですので、原価の変動は金額換算すると数十円程度でしょう。
しかし、その数十円程度の変動が販売個数の分だけ積み重なり、経営に大きく影響してしまうことになります。
気づくことの難しい非常に緻密は問題ではありますが、飲食業経営者の皆様には原価率の管理に目を向け、経営の安定化を目指していただければと思います。