過去の費用は取り返せない 〜サンクコストという考え方〜
今回は、過去にかけてしまった費用は戻ってくることがない限り、これからの経営判断に影響させるべきではないという考え方についてご紹介したいと思います。
この、過去にかけた取り返せない費用のことを、「サンクコスト」という、直訳すると「埋没費用」ということになります。
経営の意思決定をするときには、その会社の将来が左右されるという意味では、“正しい判断”を“正しい時期”に行わなければなりません。
しかし、その経営判断をする際に、考慮してはいけない事項を混ぜて考えてしまっては正しい経営判断が行えない恐れがでてきます。
例えばオフィスを移転するかどうかという経営判断を行う際に、過去に投資した内装費用をその移転の経営判断に考慮してしまうということです。
もしその設備投資が最近であれば「設備投資をしたばかりだから、今移転しまうと改装にかかったお金がもったいない」と考えてしまうかもしれません。しかし、ここで指摘をしたくなるのが、これからの経営判断に過去の投資は関係ないという事です。移転をしてもしなくても、過去の設備投資にかかった費用が返金されることはありません。
このように、過去にかかった将来取り戻せない費用のことを気にして、経営判断に影響を及ぼしてしまうと、移転する時期が遅れて、より無駄な賃料を今後しばらく払わないといけなくなってしまいます。もしもサンクコストを気にせずに、今後の費用感だけを考慮して移転を決断できていれば、無駄なコスト支出を減らせて、事業を拡大できていたかもしれません。
「過去に使ったお金のもったいなさ」という考えが、これから得ることができるチャンスを逃してしまっている可能性があります。
今回のオフィス移転の話は単なる一例にすぎませんが、経営判断をする場面で、考慮すべきことと、考慮してはいけないことをしっかりと区別する力を身につけていただければと思います。