銀行への返済が難しくなりそうな時の打開手段
会社を経営していれば大なり小なり銀行から融資を受けていることと思います。
当初は運転資金や設備投資資金として借りたけれども、順調に売上が上がらず、経費の支払いに手一杯となり返済まで資金を回せなくなってしまうことは容易に考えられる事態です。
資金繰りが厳しい。銀行への毎月の返済ができなくなりそうと感じた時にとるべき選択肢がいくつかあります。苦しい事態に陥った時のためにその手段を知っておいていただければと思います。
STEP1 現状の入出金額の調整
まずやるべきことは、もちろん現状の入出金のバランスを把握し、何ヶ月後の返済がしんどくなるか正確に把握することです。その返済ができなくなるまでに資金繰りを改善できる手段があるのかないのかを冷静に見極めなければなりません。楽観的な予測をしないように十分に注意しながら、営業戦略やコストカットを考える必要があります。
STEP2 追加融資 or 既存融資の借り換え
次に考えるべきことは、追加融資若しくは既存融資の借り換えです。追加融資は説明するまでもなく、必要資金を追加で融資してもらい会社の経営を延命するということですが、既存融資の借り換えは今ある複数の借入を一本化し、月々の返済元金を少なくするという方法です。もちろん銀行が対応してくれるかどうかにもよりますが、複数の借入を一本化し、同時に返済年数を例えば既存の5年返済から7年返済に組み替えることができるだけでも月々の返済額を減らせる可能性は高いと思います。
但し、安易に追加融資を考えることはお勧めできません。確かに追加融資がされれば簡単に当面の資金繰りは楽になりますが、そもそもの会社のビジネスモデルを見直さなければ単なる延命措置にしかならず、更に返済負担が増えてしまう分だけ苦しい状況が悪化してしまう可能性が高くなるため、追加融資の検討は慎重に考えなければなりません。
STEP3 リスケジュール
ビジネスモデルを見直しても資金が捻出できず、更に追加融資も銀行から断られた時に最後に取るべき手段としては、「借入のリスケジュール」という方法があります。これは既存融資の通常の元金返済を一定期間待ってもらうという方法です。
リスケジュールには2種類あって、元金据置と元金低減があります。元金据置は一定期間(業績が回復するまで)元金を返済せず、利息のみ支払うという方法です。これで支払い負担は大幅に減らすことができますが、元金は返済しませんので、いつまでたっても借金の残債が残ってしまうということになります。
もう一つの方法の元金低減ですが、こちらは一定期間の本来の返済元金(例えば、月々の返済元金200万円)を大幅に減らして返済する(例えば、毎月10万円)とする方法です。こちらの方法は毎月の支払い負担を大幅に減少できるし、借金の残債も少しずつですが減らしていくことができます。
ただ、リスケジュールの大きなデメリットはその期間中は追加での借入が基本的にできなくなるという点があります。クライアントの中には特例的に何かを担保に追加融資をしてくれた例もありますが、極めて異例なことであるので基本的には追加融資はしてくれないという前提でリスケジュールを検討したほうがいいと思います。
ただこれはあくまで最終手段であり、できれば資金繰りの改善、営業戦略の見直し、コストカットや借り換えの制度を使って苦境を乗り切ることを考えるべきです。しかしそれでも自力では業績回復の兆しが見えてこないというのであれば、可能な限り早い段階で専門家や契約している会計事務所に相談するようにしていただければと思います。お金のことは悶々と一人で悩まず、素直に状況を打ち明けて相談できる関係性のある第三者を作るということも難局を打開する大切な施策だと思います。