効率的なコストカットの考え方
経費を減らして利益をもっと出そうと思っても、何から手をつけるのが一番いいのかという考え方のお話しをさせていただきます。
STEP1:費用を変動費と固定費に分ける
まず経費の種類は、「変動費」と「固定費」という二種類に分けることができます。
変動費とは、売上に比例して発生する費用で、売上を上げるために必要な交通費、広告費や営業部の人件費が該当します。
次に、固定費とは、売上がゼロでも毎月発生する費用で、事務所や店舗の家賃、役員やバックオフィスの人件費等が該当します。
変動費と固定費は、同じ費用項目の中にも混在している場合が多くあります。
例えば、決算書に載っている費用項目として、「給料手当」というものがありますが、この中には、営業マンの変動費としての給与も、総務部の人間の固定費としての給与も両方が決算書の給料手当の中に入っています。他にも、「旅費交通費」という項目の中にも顧客への営業で必要は電車代としての変動費と、会社への通勤にかかる電車代としての固定費の両方が計上されています。
ただ、あまり細かく変動費と固定費に分ける作業に時間を割いても本末転倒になってしまいますので、感覚としてだいたい給料手当の変動費と固定費の割合は7:3、旅費交通費の割合は6:4などと仮置きして、次のステップにうつっていただくのも一つの方法であると思います。
STEP2:会社のビジネスモデルを把握する
次に自分の会社の特徴を認識する必要があります。
ご自身の会社の仕事の性質上、変動費型のビジネスなのか、固定費型のビジネスなのかを正しく見極めなければなりません。
変動費型ビジネスの特徴
変動費型のビジネスは固定費は少ないですが、売上を上げるための変動費が多くかかってしまうため、売っても売っても利益が出にくいという性質があります。ですが、固定費が少ないという事は、万が一売上がゼロでも、赤字の金額は少ないということもできるため、変動費型のビジネスモデルはローリスク・ローリターンと言われています。
例えば、機械のような資産を多く保有する製造業や、コンサルティング業などのサービス業等が固定費型のビジネスに該当すると一般的に言われています。
固定費型ビジネスの特徴
固定費型のビジネスは売上を上げるための変動費はそんなにかからないが、会社を運営していくためのそもそもの固定費が多くかかるという性質があり、固定費の水準を越えると利益が加速度的に出ます。しかしその一方で、そもそも固定費を賄えるようになるまでの売上を立てる事にひとつの難しさがあるため、固定費型のビジネスモデルはハイリスク・ハイリターンと言われています。
例えば、小売や卸売業が固定費型のビジネスに該当すると一般的に言われています。
STEP3:ビジネスモデルに沿ったコストカットをしよう
変動費型のビジネスモデルの会社が固定費を下げることに専念しても目立った効果は期待できませんし、その反対に、固定費型のビジネスモデルの会社が変動費の削減に注力してもあまり意味はありません。
変動費を下げようとすると、流通経路や生産効率の見直しに集中すべきですし、固定費を下げようとすると、働き方改革による業務効率の改善や在宅ワークの活用等を検討する必要があります。
コストカットは従業員に十分な説明をせずに不容易に行おうとすると、反感が起こるのは当然です。そういった意味では、従業員の皆さんとも今回ご紹介した考え方を共有し、全社一丸となって方法を考えていくといったことが必要になるだろうと思います。